パニック障害患者さんのご家族の方へ

治療が始まったら

監修:金沢大学 名誉教授
アイリスメディカルクリニック
院長 越野 好文 先生

服薬は完全に回復するまで続けてください

パニック発作が起こらなくなると病気が治ったと思い、すぐにくすりの服用をやめる人が少なくありません。しかし、パニック障害の回復とは、発作に対する不安(予期不安)と広場恐怖がなくなり、病気になる前の生活がスムーズに送られるようになることです。
くすりの服用を急にやめると、発作がぶり返したり、症状が悪化することがあります。医師の指示がある間は、勝手に服薬をやめないようにしてください。また、ご家族の判断で、くすりの服用をやめさせることのないようにしてください。
パニック障害の治療に長期的に使用されるSSRIには、飲みつづけたからといって、くせになってやめられなくなることはありません。

認知行動療法をサポートしてください

パニック発作がコントロールされてきたら、これまで避けていた場所や状況にチャレンジする認知行動療法が行われます。例えば、電車に乗る、デパートに買い物に行くことに挑戦します。パニック発作のない人にとっては何でもないことですが、患者さんにとっては大きな不安を伴い、とても勇気のいる行動です。
久しぶりの電車で、不安がとても大きくなったとき、ご家族が隣で手を握っていてあげるだけで、患者さんはうまく不安をやり過ごせるかもしれません。
また、たとえ1駅だったとしても電車に乗れたときには、「すごいね! ひとりで電車に乗れたね」とチャレンジした勇気を思い切りほめてあげてください。患者さんの大きな自信となり、別の状況にもチャレンジしてみようという気持ちがもてるようになります。
チャレンジするときに大切なことは、やさしい課題からゆっくりと進めることです。電車であれば、まずは1駅だけ乗ることから始めてみましょう。うまくいかなくても、ガッカリすることはありません。何回かつづけていれば、必ずできるようになります。
患者さんの不安が強い時は、さらにやさしい課題から始めてください。

復帰のときに、治療をやめないでください

パニック障害のために、仕事を休んだり、家事をやめるなどして、治療をしなくてはならない患者さんも少なくありません。
パニック障害の治療では、いかにスムーズにもとの生活へ戻るかということが大切です。
しかし、「そろそろ仕事に復帰してもいいですよ」と言われると、完全によくなったと思い、職場への復帰を機に、くすりの服用をやめたり、減らそうとする患者さんがいます。
職場復帰という大きな生活の変化を乗り越えるために、軌道に乗るまで、くすりが手助けしてくれると考え、医師の指示に従って治療をつづけてください。
また、故意にくすりをやめるつもりはなくても、仕事に復帰すると忙しさにまぎれてつい飲み忘れてしまうこともあります。
なるべく、この時期に飲み忘れを防ぐために、「くすりは飲んだ?」と声をかけるなど、サポートしてあげてください。