監修:金沢大学 名誉教授
アイリスメディカルクリニック
院長 越野 好文 先生
パニック障害の症状は、以下の順に進行しやすいです。
パニック発作
思いがけないときに突然生じる、動悸や息切れ、強い不安を伴う発作です
パニック発作はパニック障害の中心となる症状です。
突然、激しい不安と動悸や息切れなどのさまざまなからだの症状が、何回も繰り返しあらわれます。
発作が生じると、「このまま死んでしまうかもしれない」と不安になることが多いのですが、実際にはパニック発作で死ぬことはなく、10分程度で激しい症状はおさまります。
パニック発作の症状
心臓・呼吸器の症状 |
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胸・おなかの症状 |
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全身的な症状 |
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感覚の異常 |
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不安・おそれ |
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パニック発作が起こりやすい生活シーン
例えば
- 電車に乗っているとき
- 緊張感がとけてほっとしたとき
- 会社での会議中
- 以前にパニック発作を起こした場所
- 車を運転しているとき
パニック発作のきっかけとなる生活上の出来事
疲れていて体調がよくなかったり、緊張していたりするとパニック発作が起きやすくなります
例えば
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炎天下での労働や
スポーツ、過労 -
寝不足、徹夜
-
風邪
- 精神的緊張
- 夏の高温・多湿
- カフェイン(コーヒーやくすりに含まれる)、アルコール、ニコチン
- 生理(女性の場合) など
予期不安
パニック発作が生じることに対する不安です
パニック発作を繰り返しているうちに、「また発作が起きるのではないか」という強い不安(予期不安)をいつも感じるようになります。
予期不安は毎日の生活の大きな妨げになります。
広場恐怖
パニック発作が生じる状況に対する恐怖感です
パニック発作を経験すると、以前に発作を経験した状況が怖くなってしまいます(広場恐怖)。 広場恐怖を感じると、それらの状況を避けるようになってしまいますので(回避行動)、生活の行動範囲が狭くなり、毎日の生活が妨げられてしまいます。
※「広場恐怖」は、「回避行動」も含めて使われる場合もあります。
うつ病・うつ状態
パニック障害を発症すると、うつ病・うつ状態を併発することがよくあります
パニック障害が発症して長びくと、うつ病やうつ状態を併発することがよくあります。これはパニック障害の患者さんが心身の不調を気に病んで落ち込みうつ状態になりやすいというだけではなく、うつ病もパニック障害と同じように、脳内セロトニンの働きの低下が関係しているからです。
うつ病では、「食欲がない」「眠れない」「楽しくない」「自分には価値がない」「憂うつで気分が沈む」などの症状があらわれます。
上記の症状の他にも気になる症状があらわれた場合には、医師または薬剤師にご相談ください。